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Introduction

現代美術において最もエネルギッシュで、不可欠なジャンルへと進化を遂げたパフォーマンス・アート。
シーンを創造し、革新してきた先駆者たちのドキュメンタリーをラインナップ。
自由すぎて深すぎる、パフォーマンス・アートの世界へようこそ。

いま、パフォーマンス・アートへの関心が世界的に高まっている。
パフォーマンス・アートは、伝統的な芸術観の否定と過激な実験精神に端を発した20 世紀前半の前衛芸術運動(未来派、ダダ、シュルレアリスム、構成主義、バウハウスなど)を源流とした出自と、「一回性の表現」を残す難しさから、⾧らく美術界の片隅に配されていたが、それは過去のものとなった。

現代美術の国際的祭典として最新の動向を世界に発信するヴェネチア・ビエンナーレでは、2017 年と2019 年の2 期連続で、パフォーマンス・アート作品が金獅子賞(最高賞)を受賞。また、2017 年にはキャロリー・シュニーマンが金獅子賞(生涯功労賞)を受賞。芸術界のノーベル賞と称される高松宮殿下記念世界文化賞においても、2023 年にロバート・ウィルソン、2025 年にマリーナ・アブラモヴィッチとアンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケルというパフォーマンス・アートの巨匠たちが受賞。その躍進ぶりを象徴している。

パフォーマンス・アートは身体を核としながら、文学、演劇、戯曲、音楽、建築、詩、映画など、あらゆる表現媒体を縦横無尽に横断する、融通無碍、不確定性のアートである。そして、不定形であるがゆえに、時代の先端にあるメディアやテクノロジーも積極的に取り込みながら、根源的な生々しい感情や、その時代に存在する社会への問いを表現する。

本映画祭では、芸術表現の周縁から中心へと躍り出たパフォーマンス・アートのシーンを創造し、革新してきた先駆者たちのドキュメンタリー5作品(4プログラム)をラインナップ。その底知れぬ世界を紐解く。


Line Up

パフォーマンス・アートの底知れぬ世界を紐解く、
全5作品4プログラムのラインナップ

カニングハムProgram A

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Program A カニングハムCunningham

監督・脚本・編集:アラ・コフガン 撮影:ムコ・マルハシアン 音楽:フォルカー・ベルテルマン
出演:マース・カニングハム、キャロリン・ブラウン、ジョン・ケージ、アシュリー・チェン、ロバート・ラウシェンバーグ
2019 年/ドイツ、フランス、アメリカ/93 分/カラー

ダンスの概念を根本から再定義した革命家マース・カニングハム。「音楽と振付は独立して存在する」という画期的な哲学や、偶然性を振付に取り入れる手法などにより、ダンスの新領域を切り開くパフォーマンスで世界に衝撃を与えてきた。本作は彼の生誕100周年を記念し、活動の軌跡を追ったドキュメンタリー。未公開のアーカイブ映像を通して、彼の哲学や肉声に触れ、生涯のパートナーであった前衛音楽の巨人ジョン・ケージや、ロバート・ラウシェンバーグ、アンディ・ウォーホルら20世紀を代表する芸術家たちとの協働の裏側に迫る。そして、無名だった1942年から名声を確立する1972年までの30年間に生み出された14の代表作を現代のダンサーたちが再演。ビルの屋上や深い森の中など、規格外のロケーションで、空間と身体が躍動する。

2023 年イタリア賞(テレビ・パフォーミングアーツ部門)、2019 年バーデン=ヴュルテンベルク映画祭 最優秀ドキュメンタリー賞、2019 年ハンプトンズ国際映画祭ゴールデン・スターフィッシュ賞特別賞

ブレイキング・ザ・フレームProgram B

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Program B ブレイキング・ザ・フレームBreaking the Frame

監督・脚本・撮影:マリエル・ニトスラウスカ 編集:モニーク・ダルトン
出演:キャロリー・シュニーマン、ジェームズ・テニー
2012 年/カナダ/101 分/カラー

パフォーマンス・アートやフェミニズム・アートの先駆者として50年以上にわたり活動し、現代の身体芸術やジェンダー表現に多大な影響を与えたキャロリー・シュニーマン。本作は、その生涯と芸術世界を実験的アプローチで描いたポートレート・ドキュメンタリー。抽象画家としてキャリアを開始した彼女は、やがて自らの身体を素材として用い、1975年にフェミニズム・アートにおける極めて重要で過激なパフォーマンス≪Interior Scroll(体内の巻物)≫を発表。女性への身体的抑圧に抵抗した作品群は、男性優位の美術界で女性のセクシュアリティや肉体性を生々しく提示し、世間に大きな衝撃を与えた。タブーに挑み続けたシュニーマンが感じた孤独や怒り、作品への情熱が、彼女の作品記録や絵日記、そして語る言葉によって浮き彫りになる。

©Marielle Nitoslawska

ある日、ピナは尋ねた…〈2Kレストア版〉Program C

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Program C ある日、ピナは尋ねた…〈2Kレストア版〉Un jour Pina a demandé...

監督:シャンタル・アケルマン 撮影:リュック・ベナムー、バベット・マンゴルト 編集:ドミニク・フォルジュ、パトリック・ミモーニ
出演:ピナ・バウシュ、シャンタル・アケルマン
1983 年/フランス、ベルギー、ドイツ/58 分/カラー

ドイツ表現主義舞踏の流れを汲み、ダンスと演劇を融合した“タンツテアター”を現代に確立した、コンテンポラリー・ダンスの巨匠ピナ・バウシュ。本作は、映画史に名を刻む名匠シャンタル・アケルマンが、バウシュ率いるヴッパタール舞踊団の欧州ツアーに同行して作り上げたドキュメンタリー。説明的な手法を最小限に抑え、アケルマンの特徴である静謐な固定カメラと長回しを中心に構成。『コンタクトホーフ』や『カーネーション』といったバウシュの代表作の断片とともに、リハーサル時のダンサーの身体の躍動や息遣いや、舞台裏の何気ない時間が切り取られている。タイトルの『Un jour Pina a demandé...(ある日、ピナは尋ねた…)』は、バウシュがダンサーに個人的な質問や課題を与え、そこから動きを引き出していく独自の振付手法に由来する。

©INA

ピンク・シュレンマーProgram C

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Program C ピンク・シュレンマーPink Schlemmer

監督・撮影・編集・アニメーション:オリバー・フサイン
出演:タンヴィール・アラム
2025 年/カナダ/12 分/カラー

2024年、トロントのゲーテ・インスティトゥートの保管庫から『マン・アンド・マスク:オスカー・シュレンマーとバウハウスの舞台』の古いプリントが発見された。1969年に制作されたこの作品は、1925年頃にバウハウスでオスカー・シュレンマーが試みた前衛的な舞台・ダンス作品を再現し映像として記録した作品で、フィルムは経年劣化で鮮やかなピンクとマゼンタに染まっていた。本作はこの華やかな色調を手がかりとし、パフォーマンス・アートの源流の一つとして位置付けられるバウハウスの舞台工房を率いたシュレンマーのダンス、舞台表現、思想、そしてその影響を再解釈する。

第76 回ベルリン国際映画祭フォーラム・エクスパンデッド部門上映

©Oliver Husain

ナム・ジュン・パイク 月は最古のTVProgram D

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Program D ナム・ジュン・パイク 月は最古のTVNam June Paik: Moon Is the Oldest TV

監督:アマンダ・キム 撮影:ネルソン・ウォーカー 編集:タリン・グールド テーマ音楽:坂本龍一
出演:ナム・ジュン・パイク、スティーヴン・ユァン(朗読)、ジョン・ケージ、ヨーゼフ・ボイス、シャーロット・モーマン、マリーナ・アブラモヴィッチ、久保田成子
2023 年/アメリカ/110 分/カラー

“ビデオ・アートの父”と称されるナム・ジュン・パイク。彼はアートとテクノロジーの境界を破壊し、インターネット普及のはるか前にデジタル社会の到来を予見した。本作は、彼のパフォーマンス映像や手記(俳優スティーヴン・ユァンの朗読)などの膨大なアーカイブを紐解きながら、韓国から日本、ドイツ、アメリカへと渡り歩いたその生涯と、先駆的な活動やビジョンに迫る。彼が生み出した人々の想像を超えるアートがいかにして当時の大衆文化と交差したかが描かれるとともに、彼の人生を変えたジョン・ケージとの出会い、ヨーゼフ・ボイスやシャーロット・モーマンらとの過激なコラボレーションなど、フルクサスをはじめとした60年代から70年代にかけてのパフォーマンス・アートのムーブメントとの深い関わりも描かれる。

サンダンス映画祭2023正式出品、2023年MoMA Doc Fortnight 選出、2023年ガーディアン誌ベスト映画

©NamJune LLC ©Courtesy Lorenzo Bianda ©WDR

Theater

2026年6月11日現在
※上映劇場・日程が変更となる場合があります。鑑賞前に必ず各劇場にご確認ください。

関東

都市 劇場名 公開日
東京 ユーロスペース 8/1(土)~
横浜 横浜シネマリン 近日公開
小山 小山シネマロブレ 9/18(金)~9/24(木)

中部

都市 劇場名 公開日
名古屋 ナゴヤキネマ・ノイ 近日公開
上田 上田映劇 近日公開

関西

都市 劇場名 公開日
京都 出町座 近日公開
大阪 シネ・ヌーヴォ 近日公開
神戸 元町映画館 近日公開

企画・配給:
トレノバ
企画協力:
深川雅文、江口正登